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いぬさんの病気について KNOWLEDGE
クッシング症候群
飼い主さんの声
最近水を飲む量が多く、食事もよく食べるので太ってきた。
クッシング症候群
当院の獣医師より
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)は、副腎皮質で合成されるホルモンの一種であるコルチゾールが過剰に分泌されることで様々な症状を引き起こす病気です。人では稀な病気と言われていますが、犬では比較的よく遭遇します。コルチゾールの生理的作用は多岐に渡るため、臨床症状も様々で、軽度なものや一見無関係に思われる症状もクッシング症候群の一連の症状の場合があります。
今回の症例も他の疾患の治療中に問診で多飲多尿に気づき、診断にたどり着いた例です。治療を進めたことで、多飲多尿だけではなく皮膚の菲薄化や高脂血症などもクッシング症候群の症状であったことがわかりました。
以下、クッシング症候群について説明します。
分類
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下垂体性
コルチゾールの分泌を制御している脳の下垂体という部分が腫瘍化し、コルチゾールの分泌を過剰に促進してしまうことが原因です。両側の副腎が腫大します。クッシング症候群の80〜85%を占めると言われています。
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副腎腫瘍
副腎皮質が腫瘍化して過剰にコルチゾールの産生・分泌が起こります。片方の副腎が腫大し反対側の副腎は萎縮します。
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医原性
ステロイドと呼ばれるお薬にはコルチゾールと同様の作用があるため、過剰に使用した場合にクッシング症候群の症状を発症する場合があります。
症状
- 多飲多尿
- 多食
- 腹囲膨満
- 筋力低下
- 肝腫大
- 脱毛
- 蛋白尿
- 高血圧
- 沈鬱・無関心
- 皮膚の菲薄化
- 膿皮症
- 皮膚の色素沈着
- 糖尿病
- 石灰沈着
- 血栓塞栓症
- 靭帯断裂
- 顔面神経麻痺
- 偽筋緊張症
検査
- 血液検査
- レントゲン検査
- 超音波検査
- 内分泌試験
- 尿検査
治療
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内科的治療
クッシング症候群の治療薬は数種類あり、それぞれの特性と副反応を考慮して薬を選んでいきます。どの薬も長期に治療効果を評価しながら用量を調節する必要があり、多くの症例は薬を飲み続けなければなりません。
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外科的治療
下垂体もしくは副腎の腫瘍の根治を目的とする場合は、外科的な摘出が適応になります。ただし手術の難易度は高く、術後のホルモン不足による合併症などのリスクもあるためあまり一般的ではありません。
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放射線療法
下垂体の腫瘍に対しては放射線療法も選択できます。根治には至りませんが、外科手術よりも侵襲は少なく、様々な理由で内科的治療が難しい場合の選択肢となります。放射線療法は専門施設での治療となるため、二次診療病院を紹介させていただきます。
予後
クッシング症候群は複数の症状がみられることが多いですが、それぞれが軽度な症状であり、見落とされがちな病気です。しかし、ホルモンバランスが乱れると様々な臓器に異常をきたし、他の病気の回復を妨げたり合併症を引き起こしたりするなど、軽視できない病気でもあります。治療とモニタリングは長期にわたるため、動物さんと飼い主さんそれぞれの状態をお聞きしながらの診療を心がけています。