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いぬさんの病気について KNOWLEDGE
胆管閉塞
飼い主さんの声
昨日から嘔吐している。今朝はご飯も食べない。
胆管閉塞
当院の獣医師より
嘔吐の原因は多岐にわたり、症状の程度にも大きな差があります。また、症状が嘔吐のみの場合と、ほかに食欲不振や下痢、発熱などがみられる場合とでは病気の原因や重症度が異なることも多くあります。飼い主さんからの細かな問診や様々な検査によって慎重に診断を進めていきます。
今回の症例は、血液検査で肝臓や黄疸の数値が高く、エコー検査とCT検査で胆嚢と総胆管が拡張していました。胆嚢は肝臓で作られた胆汁という消化液を貯めておき、総胆管という管を通して胆汁を分泌する働きをしています。様々な原因で総胆管が閉塞すると胆管閉塞と呼ばれる状態になり、嘔吐や黄疸といった症状が見られることがあります。内科的な治療で改善する場合もありますが、今回は手術で胆嚢を切除し閉塞している総胆管を開通させる処置をしました。現在は黄疸も改善され、元気に過ごしています。
胆嚢や胆管の異常は症状が出ないことも多く、非常に気づきにくい病気です。以下、胆管閉塞について説明します。
鑑別疾患
- 胆管炎
- 胆石症
- 胆嚢粘液嚢腫
- 膵炎
- 腫瘍など
症状
元気喪失、食欲不振、嘔吐、黄疸など
検査
- 身体検査
- 血液検査
- 画像検査
治療
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投薬
細菌感染によって胆嚢炎を起こしている場合は抗菌薬を投与します。嘔吐が見られる場合は制吐薬や制酸薬を、腹痛を伴う場合は鎮痛薬を投与します。治療によって胆管閉塞が解除された後は、利胆薬で胆汁の鬱滞を改善します。
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輸液
水分や電解質を補正して全身状態を改善するため、輸液療法を行います。
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外科的治療
内科的治療で胆管閉塞が解除されない場合は、外科的に閉塞を解除する必要があります。総胆管に詰まっている物質(胆石や胆汁濃縮物)を取り除き、閉塞の原因が胆嚢炎や胆嚢粘液嚢腫の場合は胆嚢摘出術も同時に行います。
予後
胆管閉塞の原因によって予後は異なりますが、閉塞している胆石や胆汁濃縮物を取り除くことができれば予後は良好です。ただし術前の全身状態が悪い場合や、胆嚢や総胆管が破裂して腹膜炎を起こしてしまっている場合などは手術が成功しても予後には注意が必要で、残念ながら死亡してまうこともあります。また、膵臓や十二指腸の腺癌が原因で閉塞を起こしている場合も予後はあまり良くありません。
特に何も症状がなく元気に過ごしていても、健康診断で肝臓の数値やコレステロール値が高いと言われたことはありませんか?その場合は是非一度、肝臓の詳しい検査を受けてみることをお勧めします。早めに発見し治療を始めることで、入院や手術を避けることができるかもしれません。