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ねこさんの病気について KNOWLEDGE
糖尿病
飼い主さんの声
最近よく水を飲んでおしっこの量が多い。食欲はあるが、体重が減ってきた気がする。
猫の糖尿病
当院の獣医師より
獣医学的に飲水量が増えていると判断する基準は、犬の場合には一般的に100mL/kg/dayですが、猫の場合には明確な基準はありません。通常は、犬より飲水量が少ないです。飲水量の増加と尿量の増加が見られるのは、生理的な場合と病的な場合があります。しっかりと食べているのに体重が減ってくる原因にも様々な病気が考えられます。
今回の症状は、多渇(Polydipsia)多尿(Polyuria)多食(Polyphagia)といい、糖尿病の初期によく認められる3症状であり「PD/PU/PP」として認識されています。ただし、飲水量や尿量は見落とされやすく、食欲があることは気に止められることがないため、この段階で病院に連れて来られることはあまりありません。糖尿病は命に関わる病気のため、この機会にこの3症状を覚えておくといいですね。
今回の子は、検査の結果糖尿病と診断され、3ヶ月の治療の結果寛解に至りました。
症状
- 初期:多渇(PD)、多尿(PU)、多食(PP)、体重減少、脱水
- 重症:虚弱、昏睡、食欲廃絶、嘔吐
- 慢性経過:蹠行(踵をつけて歩く)
リスク因子
肥満、室内飼育、活発でない、7歳以上、去勢雄、
品種(バーミーズ、ロシアンブルー、ノルウェージャン・フォレスト・キャットなど)
検査
糖尿病は真性の糖尿病(DM)と続発性糖尿病に大きく分かれます。つまり続発性糖尿病の場合、糖尿病を引き起こす原因となっている基礎疾患が隠れている場合があります。またDMの場合も、膵炎、胆管炎、腸炎などを併発していることがあります。そのため全身スクリーニング検査が望まれます。
検査内容
- 身体検査
- 血液検査
- 尿検査
- 画像検査
治療
虚弱・昏睡状態に至るほど重度の場合は、入院管理下での治療が必要となってきます。脱水が重度で、血液中の電解質及び酸性アルカリ性のバランスが大きく乱れているため、その補正と細かな血液モニタリング・尿量モニタリングが必要となってきます。脱水等が補正されればインスリン治療を行ないます。
治療内容
- 基礎疾患の治療
- 点滴
- インスリン治療
- 食事管理
予後
犬と違って猫の糖尿病(DM)の場合は寛解して、インスリン治療が必要なくなることもあります(Regular protocolにて35%で寛解)。寛解しても再発する可能性はあるため、定期的なモニタリングが必要となります。
一方で状態がかなり悪い時には亡くなってしまうこともあります。糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)という状態に陥っている場合の死亡率は7−30%という報告があります。また、高浸透圧高血糖症候群(HHS)という状態に陥っている場合はより致死的で、2ヶ月以上生き残ったのはたったの12%という報告があります。
蹠行は血糖値が上手くコントロールされていても20%程度の子で症状が残ってしまいます。
衰弱する前に糖尿病を発見するために、「PD/PU/PP」は覚えておいてほしい症状です。