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ねこさんの病気について KNOWLEDGE
嘔吐(消化管内異物)
飼い主さんの声
昨日から緑色の液体を何度も吐いている。ご飯を食べても吐いた。今朝は食欲がない。
消化管内異物
当院の獣医師より
嘔吐の原因は多岐にわたり、症状の程度にも大きな差があります。また、症状が嘔吐のみの場合と、ほかに食欲不振や下痢、発熱などがみられる場合とでは病気の原因や重症度が異なることも多くあります。飼い主さんからの細かな問診や様々な検査によって慎重に診断を進めていきます。
今回の症例は嘔吐の頻度が高く、早期の診断と治療が必要です。消化管造影検査では完全な閉塞は認められませんでしたが、消化管の一部で造影剤の動きが滞っている様子が見られたため、消化管内異物を疑いました。また飼い主さんからも、元々異物をよく食べるとのお話があったので、早期の試験開腹を実施したところ小腸に異物が詰まっているのを発見できました。2cmほどのゴム製サンダルの一部でした。
以下、嘔吐の鑑別疾患と消化管内異物について説明します。
嘔吐の鑑別疾患
- 食事性(食あたり)
- ストレス
- 消化管内異物
- 感染性(ウイルス、細菌など)
- 膵炎
- 腎不全
- 肝不全
- 甲状腺機能亢進症
- 糖尿病性ケトアシドーシス
- 腫瘍など
症状
頑固な嘔吐、食欲不振、沈うつ、腹痛など
検査
- 身体検査
- 画像検査(レントゲン、造影検査、CT、エコー)
- 血液検査
治療
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催吐処置
催吐作用のあるお薬を使って胃内の異物を吐き出させる処置です。催吐処置は麻酔を使用しないため比較的負担の少ない処置になります。ただし症例によっては嘔吐しなかったり、嘔吐しても異物が排出されない場合もあります。また尖った異物(竹串、爪楊枝、縫針など)は催吐処置することが出来ません。
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内視鏡下異物除去
全身麻酔下で内視鏡検査をし、内視鏡に取り付けた専用器具で異物を取り除く処置です。開腹手術をする必要がなく負担の少ない処置になります。ただし胃内に異物と一緒にご飯が入っている場合や、異物が小腸にある場合は内視鏡で取り除くことは難しいです。
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胃・腸切開術
上記の処置が出来ない症例は開腹手術をすることになります。手術は胃や小腸の中にある異物を確認し、胃・腸壁を切開して取り出した後縫合します。長期の閉塞によって小腸が壊死を起こしていたり、ひも状の異物が腸を手繰り寄せて穿孔を引き起こしているときは、腸の一部を切除する場合もあります。
予後
消化管内異物は、異物を取り除くことで予後は良好です。ただし長期間閉塞していたり、ひも状の異物が腸を手繰り寄せたりして腸が壊死してしまった場合は重症化することもあるため、早期の診断と治療が必要な病気でもあります。普段から異物を食べる癖がある子や食べてしまったかもという疑いのある子は、すぐに獣医に伝えていただくことで適切な治療に繋げることが出来るので、診察時に教えていただくようお願いします。